セルビア語の語順と聞いても、語学を始めたばかりだとピンとこないかもしれません。でも、しばらく学んでいると気づくはず。
文の中で単語をどこに置くかで、その文の働きや意味の伝わり方が変わるんです。自然なセルビア語で、ちゃんと相手に伝わるように話したいなら、語順は避けて通れないポイント。
文法はちょっと苦手…という人もいるかもしれませんね。この記事では、セルビア語の語順が書き言葉や話し言葉にどう影響するのか、例文つきでわかりやすく紹介します!
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セルビア語は、英語やフランス語などに比べて語順がずっと自由。意味を変えずに、語順をまったく自由に入れ替えられる場合もあります。たとえば次の3つは、どれも同じ意味です。
- Sneg nije nikada ovako dugo padao(スネグ・ニイェ・ニカダ・オヴァコ・ドゥゴ・パダオ)
- = Sneg nikada nije ovako dugo padao(スネグ・ニカダ・ニイェ・オヴァコ・ドゥゴ・パダオ)
- = Sneg nije nikada padao ovako dugo(スネグ・ニイェ・ニカダ・パダオ・オヴァコ・ドゥゴ)
意味はどれも「雪がこんなに長く降り続いたことはない」。
ただし、もっと一般的なのは、語順を変えると文の「情報の流れ」が変わるケース。つまり、すでにわかっている情報(主題)と、新しい情報(題述)の関係が変わるんです。
ふつうは、1つの並べ方が中立的で、文体的に目立たない「基本の語順」になります。それ以外の語順は、気持ちを込めたいときや、文の一部を特に強調したいときに使われます。
強調したい要素は、ふつう文の最後に置きます。新しい情報は、すでにわかっている情報のあとに来るからです。
また、基本の語順では文頭に来ない要素を、あえて文頭に置いて強調することも。話し言葉では、その単語に文のアクセントが置かれ、より強く響きます。
主語・述語・目的語の並べ方

主語(S)、述語(P)、直接目的語(O)の並べ方は、理論上6通りすべてが可能。主語と目的語は格の形で区別できるからなんです。日本語で「が」「を」があれば語順を入れ替えても通じるのと、少し似ていますね。
それでも、いちばんよく使われるのは中立的な「S+P+O」の語順です。
- Dečaci vole fudbal.(デチャツィ・ヴォレ・フドバル):男の子たちはサッカーが好き。
述語を対比させたいときは、「O+S+P」や「S+O+P」の語順を使います。
- Fudbal dečaci vole, a gimnastiku rade jer je obavezna.(フドバル・デチャツィ・ヴォレ、ア・ギムナスティク・ラデ・イェル・イェ・オバヴェズナ):男の子たちはサッカーは好きでやっていて、体操は必修だからやっている。
- Dečaci fudbal vole, a gimnastiku rade jer je obavezna.(デチャツィ・フドバル・ヴォレ、ア・ギムナスティク・ラデ・イェル・イェ・オバヴェズナ):同上
主語を強調したいときは「O+P+S」の語順に。
- Fudbal vole dečaci, ali ne i devojčice.(フドバル・ヴォレ・デチャツィ、アリ・ネ・イ・デヴォイチツェ):サッカーが好きなのは男の子で、女の子ではない。
述語を文頭に置いて(P+S+O)、述語を強調することもできます。
- Vole dečaci fudbal, zašto misliš da ga ne vole?(ヴォレ・デチャツィ・フドバル、ザシュト・ミスリシュ・ダ・ガ・ネ・ヴォレ):男の子たちはサッカーが好きだよ。どうして好きじゃないと思うの?
「P+O+S」(Vole fudbal dečaci/ヴォレ・フドバル・デチャツィ)は、その前の語順をさらに珍しくした、文体的に目立つバリエーションとして使われることがあります。
主語の位置
主語が新しい情報を表すときは、動詞のあとに来ます。
- Tražio te je neki čovek.(トラジオ・テ・イェ・ネキ・チョヴェク):ある男の人があなたを探していたよ。
- U sredu počinje zima.(ウ・スレドゥ・ポチニェ・ズィマ):水曜日に冬が始まる。
「U sredu počinje zima」と言うのは、冬がすぐそこまで来ていることは相手も知っているけれど、何曜日に始まるかまでは知らない、という場面です。
直接話法や引用のあとに続く文では、主語は必ず「言う」「思う」などの動詞のあとに来ます。
- Da li ste gladni? – upita majka.(ダ・リ・ステ・グラドニ? ウピタ・マイカ):「おなかすいた?」と母がたずねた。
- Čovek ne živi samo od hleba, kaže Biblija.(チョヴェク・ネ・ジヴィ・サモ・オド・フレバ、カジェ・ビブリヤ):人はパンのみにて生きるにあらず、と聖書は言う。
目的語の位置
目的語がすでにわかっている情報(主題)、つまり前に話に出てきたものなら、動詞の前に来ます。
- Pisma će odneti kurir.(ピスマ・チェ・オドネティ・クリル):手紙は配達員が届けるよ。
これは「手紙はどうなるの?」への答えになる文。中立的な語順の「Kurir će odneti pisma.(クリル・チェ・オドネティ・ピスマ)」なら、「配達員は何をするの?」への答えになります。
同じ動詞に直接目的語と間接目的語の両方がつくときは、ふつう短いほうが先に来ます。
- Poslao je scenario producentu filmskog studija.(ポスラオ・イェ・スツェナリオ・プロドゥツェントゥ・フィルムスコグ・ストゥディヤ):彼は脚本を映画スタジオのプロデューサーに送った。
- Poslao je producentu scenario svog novog filma.(ポスラオ・イェ・プロドゥツェントゥ・スツェナリオ・スヴォグ・ノヴォグ・フィルマ):彼はプロデューサーに新作映画の脚本を送った。
人称代名詞の位置
人称代名詞を強調するときは、動詞との位置関係はそのままで、アクセントのない短い形がアクセントのある長い形に置き換わることがあります。
- Ne čujem ga.(ネ・チュイェム・ガ):彼の声が聞こえない。
- Ne čujem njega nego nekog drugog.(ネ・チュイェム・ニェガ・ネゴ・ネコグ・ドゥルゴグ):聞こえるのは彼じゃなくて、ほかの誰かの声。
- Ja ga ne čujem.(ヤ・ガ・ネ・チュイェム):私には彼の声が聞こえない。(直訳:私は彼を聞こえない)
- Ja njega ne čujem ali čujem tebe.(ヤ・ニェガ・ネ・チュイェム・アリ・チュイェム・テベ):私には彼の声は聞こえないけど、あなたの声は聞こえる。
アクセントのある形は、アクセントのない形と違って、文頭にも置けるんです。
- Nisu nam ništa dali.(ニス・ナム・ニシュタ・ダリ):彼らは私たちに何もくれなかった。
- Nama nisu ništa dali a možda su dali drugima.(ナマ・ニス・ニシュタ・ダリ・ア・モジュダ・ス・ダリ・ドゥルギマ):私たちには何もくれなかったけど、ほかの人にはあげたのかも。
形容詞の位置

名詞述語の中の形容詞は、特に強調したいときに文頭に出せます。そのときは文のアクセントがその形容詞に置かれます。
- Čudni su ljudi bili ti Lakonci.(チュドニ・ス・リュディ・ビリ・ティ・ラコンツィ):変わった人たちだったよ、あのラコニア人たちは。
これは「Lakonci su bili čudni ljudi.(ラコンツィ・ス・ビリ・チュドニ・リュディ):ラコニア人は変わった人たちだった」より、力強く表現豊かな言い方です。
名詞を修飾する形容詞は、今のセルビア語ではほぼ必ず名詞の前に来ます。日本語と同じ順番なので、覚えやすいですね。
逆の順番が見られるのは、古い文章や詩だけなんです。
たとえば主の祈り(Očenaš/オチェナシュ)の「Hleb naš nasušni daj nam danas(フレブ・ナシュ・ナスシュニ・ダイ・ナム・ダナス):日ごとの糧を今日もお与えください」。
ミラン・ラキッチの詩の一節「kosturnica strašna i porazom slavna(コストゥルニツァ・ストラシュナ・イ・ポラゾム・スラヴナ):恐ろしく、そして敗北によって栄光ある納骨堂」もそのひとつです。
歴史上の人物のあだ名でも、形容詞は名前のあとに来ます。たとえばAleksandar Veliki(アレクサンダル・ヴェリキ):アレクサンドロス大王、Dušan Silni(ドゥシャン・シルニ):強帝ドゥシャン。
1つの名詞に形容詞がいくつも並ぶときは、次の順番になります。
- 不定形の形容詞が、定形の形容詞より先
- 性質を表す形容詞が、関係・分類を表す形容詞より先
- 狭い分類を表す形容詞が、より一般的な分類を表す形容詞より先
- moderan američki borbeni avion(モデルン・アメリチュキ・ボルベニ・アヴィオン):最新のアメリカの戦闘機
- slavna francuska filmska glumica(スラヴナ・フランツスカ・フィルムスカ・グルミツァ):有名なフランスの映画女優
セルビア語の語順のまとめ
英語とセルビア語で語順を比べると、次のような結論になります。
- 文法的な語順は2つの言語でほぼ同じ。でも、文脈や話し手の意図による語順は大きく違います。
- 英語では、文脈による語順は、文の情報構造や話し手・書き手の個人的なスタイルにほとんど左右されません。セルビア語では、文脈による語順の多くが、文の情報構造と話し手の文体の好みの両方で決まります。
- セルビア語は格変化がある「総合的」な言語なので、語順は意味の伝え方や文体によって決まります。一方、格変化のない「分析的」な英語では、語順は主に文法的な役割で決まります。
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