一口で中国語と言っても、実に多様な方言があり、主に7つの種類に分けられます。
中国語の各方言は発音、声調、文法、語彙など独自の特徴を持っていて、実は、北京語と広東語の違いは、英語とスペイン語またはフランス語の違いに匹敵します。ただし、同じ漢字を使用するので、中国語内では「方言」として扱われるわけです。
この主な7種類の方言/言語は、北方語・粵語・福建語・客家語・上海語(吳語)・湘語・贛語ですが、これら方言同士の違いは、日本語のなまりとは全く異なり、お互いのコミュニケーションは容易ではありません。
それでは、中国語の種類を以下解説します。
目次
中国語の種類
中国で話されている多種類の言語に、翻訳を使わないとわからないほどの違いがあるのは、広大な中国の多様さを象徴しますね。
太古からの民族間の歴史や、その歴史から紡ぎ出されてきた文化の多様性など、中国語には深いロマンが込められているように感じます。
では、その多種類ある方言/言語のうち、代表的な7方言をみていきますが、まず標準中国語です。
1. 標準中国語(普通話 / プートンホワ)
中国の公用語で、北京語(北方語の一つ)を基盤に、中国全土の言語統一を目指して20世紀初頭に制定されました。
国際的には「マンダリン」と呼ばれ、日本で学ばれる中国語の多くがこの標準中国語です。北京語を基にしながらも、他の方言の影響も受けているため、広い地域で受け入れられやすく設定されています。
特徴:
- 声調(トーン)が4種類あり、それぞれのトーンで意味が変わる。
- 簡体字(簡略化された漢字)表記を使用。
- 文法が比較的シンプルで、語順が重要。
北方語は、中国北部や西部で話される方言群の総称で、北京、天津、山東省、東北地方、西北地方など、中国で最も広い地域、人口の70%以上に使われています。
2. 広東語(粤语 / ユエユー)
広東語は、広東省や香港、マカオで主に話されていて、世界中の華僑コミュニティでも広範囲で使われています。
広東語の起源は古代中国の「中原音韻」にさかのぼり、その後、南方への移住者によって広まって独自の発展を遂げました。香港映画や音楽の発展とともに、広東語はグローバルな知名度を得ています。
特徴:
- 声調は6〜9種類と、標準中国語より多い。
- 繁体字(旧字体)表記を使用。
- 文法や単語の構成が独特で、表現がより複雑。
- 発音が非常に多様で、学習者には難易度が高い。
3. 福建語(フージェンユー)
福建語は、中国福建省を中心に話される言語で、閩南語や閩東語などの方言を含む広義の呼称です。
特に東南アジアの華僑コミュニティでも使用され、地域によって異なるバリエーションがあります。
福建語は、古代中国の閩越文化に由来し、移民や交易の影響で広がりました。福建省から東南アジアへの移住者が増えたことで、フィリピン、インドネシア、マレーシアなどで広く使用されています。
閩南語(ミンナンユー)は福建語の一部で、福建省南部を中心に話され、特に台湾や東南アジアの華僑コミュニティで広く使われているのも、閩南語です。
(閩南語は福建語の中でも影響力が大きいため、海外で「福建語」と呼ばれる場合、実際には閩南語を指していることが多い。)
閩南語と閩東語で「こんにちは」や「ありがとう」の表現に違いがあります。
福建語 | こんにちは | ありがとう |
---|---|---|
閩南語(ミンナンユー / 南部福建語) | 你好 リーホー | 感謝 カムサ |
閩東語(ミンドンユー / 東部福建語) | 你好 ニーホー | 謝謝 シェイシェイ |
特徴:
- 声調が多様(7〜8種類)で、発音が非常に豊か。
- 地域によって異なる言語変種が存在。
- 東南アジアでは福建語を話すコミュニティが多い。
台湾語は、閩南語と深いつながりを持っていますが、台湾独自の歴史や文化的背景を反映して進化していて、現在では台湾特有の方言として認識されています。
4.客家語(ハッカユー)
客家語は、中国南部の客家人(ハッカ人)の間で話される方言で、主に広東省や江西省、福建省で使われ、海外の客家人コミュニティでも見られます。
- 例文:
- 你好!(ニーハオ)— こんにちは
- 多謝!(ドーチェ)— ありがとう
- 特徴:
- 声調は6種類。
- 他の方言よりも標準中国語に近い単語が多い。
- 歌や民謡において重要な文化的役割。
5.上海語(呉語 / ウーユー)
上海語は、上海を中心に使用される呉語の一種で、呉語は江蘇省や浙江省でも話されています。
- 例文:
- 侬好!(ノンホー)— こんにちは
- 谢谢!(シャシャ)— ありがとう
- 特徴:
- 声調は5種類。
- 発音が標準中国語と大きく異なり、独特な音韻が特徴。
- 経済と文化の中心地である上海の影響力が強い。
6.湖南語(湘語 / シャンユー)
湖南語は湖南省で主に使用される方言ですが、地域ごとにバリエーションがあり、特に湖南省北部では他の方言との違いが大きいです。
- 例文:
- 你好!(ニーハオ)— こんにちは
- 謝謝!(シャシャ)— ありがとう
- 特徴:
- 発音が硬く、標準中国語とは異なるリズム感。
- 歴史的な詩や文学で影響を受けた言語。
7. 贛語(ガンユー)
中国の江西省を中心に話される方言で、標準中国語の普及により若い世代の贛語使用が減少し、言語保存が重要な課題となっています。
- 例文:
- 侬好!(ノンホー)— こんにちは
- 多謝!(ドーチェ)— ありがとう
- 特徴:
- 声調は6種類。
- 北方方言や他の方言にはない独自の語彙が多い。
- 発音は、母音のバリエーションが豊富。
その他の中国語の種類
晋語(ジンユー): 山西省、徽語(フイユー): 安徽省の一部、平話(ピンホワ): 広西省で使用される少数派方言、などがあります。
華僑(海外にいる中国人)と中国語
華僑の歴史
華僑とは、中国本土を離れ、海外で生活している中国人を指します。
その歴史は数世紀にわたり、特に明代から清代にかけて、商業や移住を目的とした移動が活発化しました。19世紀には植民地時代の労働需要に応じ、多くの中国人が東南アジア、北アメリカ、南アメリカに移住したのです。
- 東南アジア: マレーシア、シンガポール、タイ、フィリピンなど。
- 北アメリカ: アメリカ合衆国、カナダ。
- その他: ヨーロッパ、オセアニア。
華僑は移住先で経済や文化に大きな影響を与え、現在でもその存在感は強いです。
言語分布
華僑の間で使用される中国語は地域によって異なります。
- 広東語: 主に香港、マカオ、東南アジア(特にマレーシアやシンガポール)。
- 閩南語: 台湾や福建省南部出身の移住者が、フィリピンやインドネシア、マレーシアで使用。
- 客家語: マレーシアやインドネシアの一部。
- 標準中国語: 最近の移民や中国政府の影響により、教育やビジネスの場では広く使用される。
簡体字と繁体字の特徴と地域分布
中国語の文字には、簡体字と繁体字の2種類があります。それぞれ使用地域と特徴が異なります。
例:愛(繁体字)→ 簡体字では「爱」
字体 | 特徴 | 使用地域 |
---|---|---|
繁体字 | 古来の漢字の形を維持。 筆画が多く、伝統的な美しさを持つ。 書道や文化的な場面で重視される。 | 台湾、香港、マカオ 海外の華僑コミュニティ(特に東南アジアの一部) |
簡体字 | 漢字を簡略化して作られた字体。 筆画が少なく、効率的に書ける。 20世紀中盤に中国本土で採用された簡略化された字体。 | 中国本土 シンガポール マレーシア |
方言と標準語の関係
中国では、このように方言間の違いが大きく、互いに理解できないことも多いので、標準中国語(普通話)が共通語として広く使われているわけです。
全ての中国語の文字表記は漢字を使用していて、方言間で異なる発音を持っていても、多くの場合、漢字の基本的な意味は共通しています。
言語的な違い
中国語の方言の違いは、以下のような点が挙げられます:
- 発音の違い: 声調の数や音の構成が異なる。
- 単語の違い: 同じ意味でも地域によって異なる単語が使われる。
- 文法の違い: 一部の方言では、文法構造が標準中国語とは異なることがある。
学ぶ際のヒント
中国語を初めて勉強する際には、まず、中国全土で通じる標準中国語(北京語)を習得するのがおすすめです。
その後、特定の方言を学ぶことで、その地域の文化や人々と深くつながることができます。
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よくある質問Q&A
北京語(標準中国語)は全中国で通じますか?
中国全土の学校の授業や、テレビ、ラジオ、映画などのメディアも北京語が使用されるので、基本的に全中国で通じます。
地域ごとに標準中国語のアクセントが異なる場合があり、特定の地方訛りが強いと通じにくくなることもあります。
台湾と香港では何語を話しますか?
台湾では、標準中国語(北京語)、台湾語(閩南語)や客家語、そして英語が通じ、香港では英語はもちろん、広東語が主に使われ、標準中国語も通じます。
北京語と広東語ではどちらが簡単ですか?
北京語(標準中国語)と広東語のどちらが簡単かは、学ぶ人の母語や学習目的によって異なりますが、一般的には、声調の少ない北京語の方が学びやすいとされています。
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